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徳洲会グループ 修復腎移植のレシピエント登録スタート 先進医療として臨床研究を強力推進

2021.07.27

徳洲会グループ
修復腎移植のレシピエント登録スタート
先進医療として臨床研究を強力推進

先進医療として修復腎移植の臨床研究を推進する徳洲会グループは、レシピエント(臓器受給者)の登録を本格スタートした。宇和島徳洲会病院(愛媛県)が3月上旬に登録を開始したのに続き、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)が6月末に登録をスタート。両院はドナー(臓器提供者)から摘出した腎臓をレシピエントに移植する移植施設(兼腎摘施設)だ。同研究には東京西徳洲会病院、南部徳洲会病院(沖縄県)、中部徳洲会病院(同)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)もドナー腎の摘出手術などを担う腎摘施設として参加。8月からは成田富里徳洲会病院(千葉県)が腎摘施設に加わる見とおしだ。

修復腎移植は直径7㎝以下の小径腎腫瘍が発生し、治療のために摘出した腎臓(ドナー腎)の病変部分を切除後、修復したうえでレシピエントの透析患者さん(慢性維持透析が困難な末期腎不全)に移植する治療技術。

ドナーとレシピエントの選択基準などを厳格に定め、慎重に説明と同意を重ねるなど倫理面に十分配慮し行う。移植施設と腎摘施設のそれぞれで倫理審査を行い、第三者からなる修復腎移植検討委員会で腎摘の妥当性やレシピエントの候補順位などを審議する。

レシピエントは①現在、透析治療中であるが、慢性透析治療の維持が困難であり、腎移植を希望、②自身の意思で移植を希望し、家族、友人などの協力が得られる、③現在40歳以上、④麻酔科標榜医が全身麻酔による手術が可能と判断、⑤修復腎を移植することのメリットやデメリットについて説明を受けて理解し、修復腎移植のレシピエントとして妥当と考えられる、⑥来院時、担当医などから説明文書および同意書の説明を聞き、腎移植に本人が同意――のすべてを満たす必要がある。

ただし、①活動性の感染症、出血性潰瘍、悪性腫瘍がある、②重症血管・循環障害(大動脈瘤(りゅう)、脳血栓、心筋梗塞、血栓症、肺塞栓)などがあり、移植により病状が悪化する可能性がある、③、①②以外に腎移植を行う医師などが不可能と判断――のいずれかに該当した場合は除外。

今後も徳洲会グループ 内外に協力を呼びかけ

徳洲会は2009年12月から宇和島病院(実施責任者:万波誠副院長)を移植施設とし、先行臨床研究に取り組んできた。17年3月までに第三者間13例、親族間5例の計18例の修復腎移植を実施。おおむね良好な成績を収め、18年7月の厚労省先進医療会議で先進医療に条件付きで承認、19年1月に官報に告示された。

先進医療として臨床研究を実施し、治療効果や安全性のさらなる評価を行い、将来的には公的医療保険への適用を目指す。

目標症例数は42例で、研究期間は29年6月まで。研究総括責任者の小川由英・宇和島病院泌尿器科部長は「前回の臨床研究で、修復腎移植は献腎移植と遜色(そんしょく)ない治療成績が出ています。臨床研究に参加する移植施設、腎摘施設が一丸となり、困っている患者さんのために、新たな移植医療の機会を提供していきたい」と力を込める。

ひとりでも多くの患者さんが修復腎移植の恩恵を享受するには、協力病院の増加が欠かせない。6月18日の先進医療技術審査部会で、腎摘施設として湘南藤沢病院の追加が認められ、7月15日の同部会では成田富里病院も追加承認された。湘南藤沢病院は7月1日に、成田富里病院は8月1日に正式に追加される見とおしで、今後もグループ内外に協力を呼びかける。

万波副院長は「先行臨床研究での実績が認められ、先進医療として修復腎移植の体制が整い、レシピエント登録が開始されました。病気のために摘出され十分機能し得る腎臓を、希望される透析患者さんに移植する治療が定着し、より多くの施設からドナー紹介されれば大きな進歩となります」と展望する。

レシピエントとして臨床研究への参加を希望する患者さんは、まず宇和島病院、湘南鎌倉病院、一般社団法人徳洲会の各ホームページに設けている問い合わせフォームから資料を請求。

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