お知らせ

「日本一のホスピス」目指す 札幌南徳洲会病院 新病院竣工式を挙行 自然との調和やアートがもつ可能性意識

2021.07.01

「日本一のホスピス」目指す
札幌南徳洲会病院 新病院竣工式を挙行
自然との調和やアートがもつ可能性意識

札幌南徳洲会病院(88床)は6月19日、新病院の竣工式を開催した。同院をはじめ敷地内に移設するホームケアクリニック札幌と緩和ケア訪問看護ステーション札幌など徳洲会関係者、地区医師会、施主の三菱地所関係者らが出席し、新病院の完成を祝った。式後には感染対策を施したうえで、同院のスタッフらが加わり記念セレモニーも開いた。新病院は現在地から約2㎞離れた場所で、7月5日から診療を開始する。

7月5日に診療スタート

日本一のホスピス目指す新病院

セレモニー後に出席者で記念撮影

クリニック棟。病院と同棟をつなぐ遊歩道もウッドチップを敷き詰め自然を意識

厳粛な雰囲気で行われた神事

竣工式の神事には33人が出席し、新病院の完成を祝うとともに発展を祈願した。その後、札幌南病院のスタッフなども加わり、記念セレモニーを開催。感染対策に配慮し、飲食や歓談をともなわない形式とした。

まず施主の挨拶として、三菱地所の川﨑正人・北海道支店長が登壇。あらためて関係者に謝意を示し、新病院について「建物の至るところに患者様のための多様な工夫が施されています。今後の病院モデルとなる素晴らしい空間ができたと自負しています」と強調した。

病院運営者の挨拶では、医療法人徳洲会の安富祖久明理事長のメッセージを、一般社団法人徳洲会の石川一郎・理事長付顧問が代読。

安富祖理事長は関係者に謝意を表し、①病床数88床と小規模ながら、前野宏総長の意向によりホスピス病棟をもつ病院として発展してきたこと、②前野総長が考える「ホスピスのこころ」を全職種が実践することで、病院を治療の場から癒やしの場に変え、患者さんに居心地の良い環境づくりに努めてきたこと、③2010年に四十坊克也院長が院長に就任し、職員一丸で新病院建設に取り組んできたこと──など、同院の歴史を紹介した。

そのうえで新病院に言及。外観や動線の特徴を挙げ「まさにホスピスのこころを大切にしている職員の希望を具現化した素晴らしい病院です」とアピールした。

四十坊院長は「ハードは完成しました。今度は私たちが培ってきた“ホスピスのこころ”というソフトを、どう注入していくかが問われます」と指摘し、「皆さん、ご期待ください」と覚悟を示した。

「いろいろな方のお話を聞き感無量です」と前野総長

 期待に応えることを誓う四十坊院長

藤原院長は「夢が叶いました」と笑顔

札幌南病院との縁を強調し新病院にエールを送る棟方院長

ホームケアクリニック札幌と緩和ケア訪問看護ステーション札幌を代表して挨拶に立った同クリニックの藤原葉子院長は、在宅緩和ケアを実践し地域の多職種と連携しながら発展してきた同クリニックの歴史を紹介。

活動するなかで、終末期のがん患者さんや家族などから「誰に相談して良いかわからない」との声が聞かれ、「スタッフと『気軽に寄れる場所を併設できたらいいね』と話していた」と明かし、クリニック棟で新たに地域緩和ケアセンター「ruyka(ルイカ)」を立ち上げることについて、「その夢が叶いました」と喜びをあらわにした。

「ruyka」という名称は「アイヌ語で、かけ橋を意味します。人と人、医療と患者さんをつなぐ橋という思いと、5年前に他界したMSWへのオマージュも込めました」と感慨深げに説明した。

来賓による祝辞では、徳洲会北海道ブロック長の棟方隆・帯広徳洲会病院院長が登壇。前野総長が高校の同級生であることなど、同院との縁を強調した。中小病院が厳しい経営を迫られるなか「病院の特徴を生かすことが重要」と指摘し、「前野総長は〝日本一のホスピス〟を掲げ、強みを伸ばしていかれると感じました。地域になくてはならない病院に発展することを祈念します」とエールを送った。

設計を担当した内藤建築事務所の河﨑邦生・取締役兼企画部長は新病院の特徴を説明。「シュヴァービングの森」が隣接する自然豊かな環境で、玄関脇の円形のガゼボ(庭などに置かれる休憩用の構造物)や院内の休憩スペース「シュヴァービング広場」など、森とともに過ごせる空間をピーアールした。

建築を担った日本建設の江縁幹夫取締役(執行役員兼札幌支店長)は今後もメンテナンスなど手厚いフォローを約束した。両者に対し、四十坊院長が安富祖理事長名の感謝状と記念品、川﨑支店長が感謝状を贈呈した。

最後にメモリアルコンサートを開催、司会の前野総長が挨拶した。新病院の完成を「感無量です」と喜び、「日本一のホスピスを目指します。長年、大切にしてきたホスピスのこころ、3つのH(Hospitality:おもてなし、Healing:癒やし、Hope:希望)にふさわしい建物を設計してほしいと複数の設計会社に依頼したなか、内藤建築事務所様の完成予想図を見た時の感動を今でも覚えています」と振り返った。

また、新病院で大切にしたいことに「アートの可能性」を示唆。「とくに終末期の患者さんに対してサイエンスを基礎に置く医療は、どこかで必ず限界が来ます。その時に、絵画や音楽などアートが患者さんやご家族、あるいは私たちスタッフを含め、力や癒やし、希望を与えてくれる可能性を感じています」と述べ、院内に絵画や墨絵の壁画を設けたり、クリニック棟を含めピアノを3台設置したりしている点を特徴として挙げた。

そのうえで、3人の演奏家を紹介。この日のためだけに結成した「トリオ・シュヴァービング」として、3つのHをテーマにクラシック3曲を披露した。アンコールで最後にグリーグの『感謝』をピアノソロで演奏、閉会した。内覧会も行い、希望者が病院とクリニック棟を見学した。

シュヴァービング広場で美しい音色を奏でる(左から)村上明子さん、有田文さん、鈴木京さん

患者さんと家族が森を眺めながら時間を過ごせるガゼボ

新病院ではステンドグラスを配した「静まりの部屋」を用意

地域緩和ケアセンター「ruyka」。ピアノや暖炉(バイオエタノール式)に加え、外を眺めながら、ひとりで過ごしたい方のための「たそがれのいす」などを設置

新病院に隣接するシュヴァービングの森

ページの先頭へ