岸和田病院 「地域医療支援病院」に承認 かかりつけ医を支援し地域へ貢献
岸和田病院
「地域医療支援病院」に承認
かかりつけ医を支援し地域へ貢献
徳洲会グループで4施設目
「より一層、地域医療に貢献します」と尾野院長
地域医療支援病院は医療法第4条に基づく制度。岸和田病院が地域医療支援病院の承認を受けたのは3月10日で、同日時点で大阪府では47病院が承認を受けている。徳洲会グループでは福岡徳洲会病院、宇治徳洲会病院(京都府)、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)に次いで4施設目。
地域医療支援病院として承認を得るには、5つの要件を満たす必要がある。①紹介患者さん中心の医療を提供。具体的には「紹介率が80%を上回っている」、「紹介率が65%を上回り、かつ逆紹介率が40%を上回っている」、「紹介率が50%を上回り、かつ逆紹介率が70%を上回っている」のいずれかに該当しなければならない。同院は紹介率65%超・逆紹介率40%超に相当。
紹介率は紹介患者さんの数÷初診患者さんの数×100で表す。地域の診療所など、かかりつけ医から紹介を受けた患者さんを多く診ているほど数字は大きくなる。他方、逆紹介率も、逆紹介患者さんの数÷初診患者さんの数×100で表す。これも同様に、他の医療機関に患者さんを紹介するほど数値は大きい。かかりつけ医と高機能病院との役割分担を促進するのが趣旨だ。
②救急医療を提供、③建物、設備、機器などを当該病院に勤務しない地域の医療従事者が利用できる体制を整備、④地域の医療従事者の資質向上を図る研修を行っている、⑤原則として200床以上の病床を有する。
同院の尾野亘院長は「当院は地域の中核病院として救急医療を中心に役割を果たしてきました。診療所の先生方からの紹介患者さんも増えてきたことをふまえ、地域の医療提供体制のなかでの役割分担と連携強化を目的として、地域医療支援病院の申請を行いました」と狙いを明かす。
地域医療支援病院の承認証
初診の患者さんや定期処方の患者さんは基本的に地域のかかりつけ医に任せており、病院でなければできない検査や治療がある場合、紹介を受けて実施する。検査・治療を終えたら紹介元のかかりつけ医に逆紹介するという方針を取っている。
「紹介・逆紹介を推進するには病診連携の深化が欠かせません。そのために、顔の見える関係づくりを何より大切にしています。また、昨年6月には岸和田市医師会の参与になりました。医師会の仕事にもかかわるなかで、より一層、地域の先生方との連携を強化していきたい」(尾野院長)なお救急医療に関しては2020年の1年間で、大阪府内の医療機関で最も多い8666人の救急車搬送患者さんを受け入れた。そのうち1528人は重症の患者さんで、これも府内最多だった。
積極的にコロナ診療 22年には400床へ
岸和田病院は11年に大阪府がん診療拠点病院、12年には救命救急センターの指定を受けた。また、救急医療用ヘリポートを設置し15年に運航許可を取得、16年にはJMIP(外国人患者受入れ医療機関認証制度)認定、同年、地域災害拠点病院の指定を受け、18年に国際的な医療機能評価であるJCI認証も取得。その間、手術支援ロボット「ダヴィンチ」など高度な医療機器・設備を導入するなど診療機能の向上にも努めてきた。
さらに現在、同院は新─新館増築工事を進めている。22年2月末に工事(増築)を終える予定で、地下1階、地上5階建てだ。新─新館には外来や入院病棟、管理部門などが入り、増築に合わせ現在の341床から22年4月には400床に増床する計画だ。救急隊が常駐する救急ワークステーションの計画もある。
尾野院長は「病院の機能向上を図るなかで、当院は公的病院に近い役割を担ってきました。新型コロナ陽性の重症患者さんも積極的に受け入れ、病院を挙げて診療に取り組んでいます。高度な診療機能・体制を確保し続け、今後、ますます地域医療に貢献していきたい」と抱負を語る。
新型コロナ診療に関して同院は大阪府の重点医療機関に指定されており、救急病棟に重症専用の15床を確保。搬送されてくるのは、人工呼吸器やECMO(体外式膜型人工肺)などによる集中治療を必要とする大阪府全域の重症患者さんだ。