武蔵野病院 低侵襲に病変を切除 初の腹腔鏡内視鏡合同手術
武蔵野病院 低侵襲に病変を切除
初の腹腔鏡内視鏡合同手術
消化器外科医・内科医が合力
LECSを施行した(右から)木村部長、吉本部長
消化器外科・内科の連携により実現
従来、胃粘膜下腫瘍の低侵襲手術は腹腔鏡のみによる手術だったが、病変位置の正確な把握が難しく胃壁を余分に切除することが多かった。これを克服するため考案されたのがLECS。内視鏡で胃の内側から病変を確認・切除し、範囲を最小限に抑えられるため、機能を温存しやすくQOL維持に寄与する。
LECSを実施したのは、吉本泰治・消化器内科部長と、昨年7月に着任した木村尚哉・外科部長(専門は消化器外科)。患者さんは50代男性で悪性腫瘍の疑いがあり、患者さんの希望をふまえ3月30日に行った。
胃の幽門部(胃の出口)付近に発生した腫瘍だったことから、木村部長は「LECS以外の方法だと、幽門側胃切除術(胃の約3分の2を切除)を行うことになり、QOLの低下は避けられません。そこでLECSを選択しました」と説明する。
手術は全身麻酔下で施行。吉本部長が胃カメラでマーキングし、電気メスで胃壁を貫くように病変(直径約3㎝)の周囲3分の1ほどを切除。吉本部長が合図を送り切除位置を確認しながら、木村部長が腹腔鏡手術で残り3分の2ほど切除、縫合して無事に終了した。経過は良好だ。
吉本部長は「経験を積んだ消化器外科医と消化器内科医がいて、初めて安全に施行できます。技術だけでなくコミュニケーションが取れている関係性がなければ、円滑に行うことはできません」。
内視鏡センターのスタッフは、ふだんとは異なるオペ室であるため万全の準備を期した。谷川小夜看護師と熊谷せりか看護師は「物品の配置などについてオペ室のスタッフと打ち合わせを重ねました。次回はもっとスムーズにできると思います」と口をそろえる。
木村部長は「良性疾患、悪性疾患を問わず、手術のクオリティを保ちながら、地域の患者さんに貢献していきたい」と意気軒高だ。