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田尻・葉山ハートセンター医長 画像診断スキル指南 「葉山Radiology Conference」 徳洲会内外の初期研修医らに

2021.04.27

田尻・葉山ハートセンター医長
画像診断スキル指南「葉山Radiology Conference」
徳洲会内外の初期研修医らに

葉山ハートセンター(神奈川県)の田尻宏之・放射線科医長は、徳洲会グループ内外の初期研修医らを対象に、レントゲン、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像法)などの読影や画像診断のスキルをレクチャーする「葉山Radiology Conference」を開催し好評だ。オンライン形式で実施。昨年10月以降、胸部レントゲン写真の読影をテーマに4回開き、約120人が参加した。5月からは〝頭部〟をテーマに加えた新シリーズのカンファレンスを開始する。

臨床現場で役立つ技術を伝えたい」と田尻医長 「臨床現場で役立つ技術を伝えたい」と田尻医長

田尻医長は臨床のかたわら、新医師臨床研修制度がスタートした2004年以降、研修医への教育に携わり、これまで多くの若手医師や多職種への指導にあたってきた。

「医師臨床研修制度では放射線科は必修科目となっておらず、加えて放射線科の専門医は全国的に不足しているため、多くの医療機関で画像診断に関する教育体制が整っていないのが実態です。そのため研修医が体系的に画像診断を学ぶ機会に恵まれず、苦手意識をもつ医師が少なくありません。このような現状を打破するには、若手医師に画像診断に興味をもってもらい、仲間を増やしていくことが重要だと考え、教育活動に力を入れています」(田尻医長)

カンファレンスを通じ、異常所見を見落とさず拾い上げるスキルを指南。典型症例はもちろん、まれな症例に関してもピットフォール(落とし穴)と呼べる画像所見など、実践的な知識・技能の習得に力点を置く。

「若手医師が将来、放射線科以外の専門医になった場合でも、自分の専門領域外の臓器の異常所見を見逃さないスキルを身に付けることは重要です。さらに、近年、画像診断報告書の確認不足により、主治医が重大な画像所見を見逃し、患者さんに不利益が生じる医療事故が大きな社会問題となっていますが、放射線科医の考え方や画像診断報告書の重要性を理解いただくことで、このような事例の防止につながると期待しています。医師の画像診断レベルの向上により、地域の医療水準の底上げに貢献するものと考えます」(田尻医長)

全国の参加者に向け読影スキルを伝授する田尻医長(奥)全国の参加者に向け読影スキルを伝授する田尻医長(奥)

昨年10月に開催した第1回は、胸部レントゲンの基本原理の解説とシルエットサイン(病変部位の推測に役立つサイン)がテーマ。11月の第2回は胸部レントゲンの撮影条件による画像の違いや、胸水の評価の仕方をレクチャーした。12月の第3回は気胸の診断などを講義。2月の第4回は循環器内科とのコラボ企画とし、2部制で実施。第1部で田尻医長が肺水腫の画像診断を講義、続く第2部では天野辰哉・循環器内科医師が講師を務め、不整脈の診断と治療をテーマに、ホットバルーンの紹介なども行った。

配信中は、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)から応援診療のため同センターに来ている専攻医(後期研修医)がゲスト医師として参加し、研修医目線で質問を投げかけるなど進行も工夫。参加者からは「たくさんの気付きを得られました」、「画像診断の面白さや難しさを知り貴重な機会となりました」など好評だった。

〝人をつくる〟大切に

田尻医長は「5月から新シリーズを予定しています。昨年に行った胸部レントゲン読影に、ER(救急外来)で避けて通れない〝頭部の画像診断〟をテーマに加えました。今後とも臨床現場で役立つ技術を伝えながら、〝人をつくる〟ことを大切にしていきたい」と意欲的。

次回は5月15日午後1時から開催予定で、プログラムは①胸部レントゲンの読影、②脳卒中の画像診断(くも膜下出血の画像診断)の2部構成。同センターのホームページから参加の申し込みができる(締め切りは5月14日午後4時)。

徳洲会には今年度、167人の初期研修医(医科158人、歯科9人)が入職。田尻医長はグループ内外からの積極的な参加を呼びかけている。

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