名古屋病院 カテーテルアブレーション 1000例を突破
2021.04.14
名古屋病院
カテーテルアブレーション 1000例を突破
名古屋徳洲会総合病院は不整脈の根治療法であるカテーテルアブレーション治療(心筋焼灼(しょうしゃく)術)が1000例を超えた。加藤千雄・循環器内科部長が2014年に入職し同治療を開始して以来、約7年で達成。1月15日に1000例目を治療した。
加藤部長(前列中央)を中心に1,000例突破を記念
カテーテルアブレーション治療は頻脈性不整脈の発生源となっている心臓内の部位を、専用のカテーテル(細い管状の医療器具)で焼くことにより根治を目指すもの。大腿(だいたい)の付け根からカテーテルを挿入し心臓内に誘導、先端の電極から高周波(電流)を発し、約60度の熱で焼灼する。不整脈のひとつに心房細動があり、これ自体は命にかかわる病ではないが、心臓内で血栓(血の塊)ができやすく、これが脳梗塞を引き起こす原因になる。治療は医師による診断が必要なため、定期的な検査が重要だ。同治療は薬物治療が効かない患者さんや根治を希望する患者さんに行う。
加藤部長が入職した14年は、名古屋病院での同治療の症例数は年間83例だったが、20年には年間223例を実施。年々その数を増やした要因のひとつに診療所からの紹介件数の増加がある。加藤部長は「私自身、診療所医師をしていたこともあるので、病院とのつながりを逆の立場でも理解しています。診療所から患者さんを紹介していただいた時は、治療後や退院時など頻繁に報告するようにして、安心していただけるように気を付けています」と明かす。
より安全かつ確実に実施している治療実績にも信頼性がある。同院では同治療を行う際、動脈にカテーテルを挿入し、観血的に血圧を常時モニターし、安全性を担保。また、静脈麻酔により、深鎮静の状態で施術することで、痛みもなく安静を保つようにしている。
加藤部長は「患者さんの麻酔が覚めるまでカテーテル室で待機するなど、手技以外のところで手間も時間もかかりますが、安全には代えられません。また、再発することなく、一度の治療で終えられることも重要です。一例一例を丁寧に行い、1回の施術時間が長くなったとしても、確実に治療することを心がけています」と強調する。
カテーテルアブレーション治療の様子
こうした治療を支えるのが看護師や臨床工学技士(CE)などのスタッフ。スキルアップにも励んでおり、看護師からのリクエストで、不整脈やBIS(鎮静の程度を数値化)モニターの見方などをテーマにした勉強会を実施したり、CEによる日本不整脈心電学会などの学術集会での発表をサポートしたりしている。また、20年4月から不整脈専門医を目指す専攻医が入職。加藤部長の今後の目標として「カテーテルアブレーション治療2000例を目指すと同時に、専攻医を一人前に育て上げることです」と意気込みを見せている。