徳洲会 オンコロジープロ発足10年経過 統一レジメン拡大など注力 グループのがん医療支える
2021.04.06
徳洲会 オンコロジープロ発足10年経過
統一レジメン拡大など注力
グループのがん医療支える
徳洲会オンコロジープロジェクトが発足して10年が経過、徳洲会統一レジメン(抗がん剤など薬剤の種類、量、期間、手順などを定めた治療計画書)登録の拡大、WEBキャンサーボードの活用、リアルワールドデータ(RWD)研究の推進など、コロナ禍でも精力的に活動している。
「スケールメリットを生かしたい」と下山センター長
まず徳洲会統一の標準レジメンでは2020年、9がん種19レジメンを新たに登録し、19年の4がん種17レジメンを上回った(現在20がん種、389レジメン登録)。背景には免疫チェックポイント阻害剤のさまざまながん種への適応拡大、新薬承認などがある。
タイムラグなく最新の化学療法を実施できるように、がん薬物療法認定薬剤師を中心としたレジメン作成班をこれまでの4人から34人に大幅拡充、8班に分かれ分担することでレジメン作成登録の迅速化を図った。
また、コロナ禍ではWEBキャンサーボードが活躍。多施設をセキュリティ強固な専用回線でつなぎ、電子カルテの内容を共有、基本的に肺がんは毎週、消化器がんは隔週で実施した。3年ほど前から始まった肺がんキャンサーボードでは、昨年12月で計180回、約430症例を検討、コロナ感染症例も多く取り上げ、治療方針の決定や情報共有に努めた。下山センター長は「今後は離島・へき地病院も含め、困った時に気軽に相談できるようにしたいと思います。全国どこでも都市部と同レベルの治療ができるようにサポートしていきたいです」と意欲的だ。
学術活動にも動きがあった。標準レジメンコードの統一化と連動し、徳洲会71病院中50病院の共通抗がん剤電子カルテシステムに集積したデータを用いRWD研究を推進。
初動として3がん種(胃がん、膵(すい)がん、肺がん)でテーマを絞り込み、データを集積、精査・統計解析の段階に入っている。
下山センター長は「集積したデータは、高齢者だったり合併症があったりと実臨床に基づいているのが強み。さらに、膵がんで1500例を超えるなど、日本でも圧倒的な症例数になる見込みです。来年あたり、国内のみならず国際学会も視野に入れた発信を検討しています」とアピール。「病期や治療歴が欠損するなど不備のあるデータも見られましたので、今後、がん登録やデータの取り方を改善していきます」と課題も提示する。
昨年はコロナ禍により、乳がん部会、消化器がん部会、呼吸器がん部会ともに研究会の集合開催ができなかった。今年はその実現に加え、3部会合同の研究会開催も視野に入れている。下山センター長は「徳洲会は、スケールメリットを生かし、がん医療にも力を入れていることを世の中に示していきたいです」と強調。