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徳洲会病理部会 病理センター全国5カ所に拡大 新たに山陰と湘南へ拠点を開設

2021.03.02

徳洲会病理部会
病理センター全国5カ所に拡大
新たに山陰と湘南へ拠点を開設

徳洲会病理部会は、出雲徳洲会病院(島根県)を拠点とした山陰病理診断研究センター(T-SAP)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)を拠点とした湘南病理診断研究センター(T-SHOP)を開設した。これで全国5センターの運営となり、安定的な診断体制が確立、病理診断の質向上に寄与する。医師や臨床検査技師の増員、学術活動の充実などコロナ禍でもグループ一丸となり、精力的に活動している。

『細胞診 鑑別アトラス』6月刊行

「5センターを中心に地域貢献も」と青笹・最高顧問 「5センターを中心に地域貢献も」と青笹・最高顧問

病理診断は疾患や病期の確定、治療効果の判定などに重要な役割を担い、とくに、がんの診断には不可欠だが、全国的に人員不足が問題となっている。そこで徳洲会病理部会は、人員不足を解消し高精度な病理診断を提供するため、「センター化」を進めてきた。

まず、九州・沖縄地区の徳洲会グループ15病院の病理診断を担う九州・沖縄病理診断研究センター(T-KOP)が2015年11月にスタート。福岡徳洲会病院を拠点とし、2大学の協力の下、離島・へき地病院の病理診断を担っている。続いて17年7月に八尾徳洲会総合病院(大阪府)を拠点に大阪病理診断研究センター(TOP)、18年8月に成田富里徳洲会病院(千葉県)を拠点に東日本病理診断研究センター(TEP)を開設。それぞれの地域で、病理業務の質的・量的向上を図った。

昨年8月、T-SAPとT-SHOPを開設、これで全国5センターに拡大した。T-SAPでは4月から島根大学の丸山理留敬・医学部器官病理学教授が、センター長に就任予定だ。今後は、来春の仙台徳洲会病院の新築移転に合わせ、東北病理診断研究センターの開設を計画、さらに北海道でも検討を進めている。青笹克之・徳洲会病理部門最高顧問は「センター設立により、ひとつの施設の規模が大きくなることで、スタッフも働きやすくなりますし、優秀な人材も集まりやすくなります」と強調する。

病理診断にかかわるグループ病院の職員は年々増加。現在、同部会の人員は常勤病理医31人、非常勤病理医46人、臨床検査技師110人(うち細胞検査士53人)で、4月には新たに3人、7月までに1人の病理医が常勤で勤務する予定だ。今後は病病連携の拡大も計画。

すでにTOPでは、試験的に近隣の病院から病理診断を受託しており、T-SAPでも準備を進めている。青笹・最高顧問は「センター化の拡大により、地域貢献も可能になってきました」と話す。

学術活動にも精力的に取り組む。現在、青笹・最高顧問が監修、成田富里病院の加藤拓・臨床検査技師、八尾病院の岩﨑由恵・臨床検査技師が編集を担当し、『細胞診 鑑別アトラス』(医歯薬出版)を制作中。既刊のアトラスは総論的な内容が多いが、これは多種多様ながんの鑑別方法を各論的に解説、写真もグループ病院の協力により、わかりやすく、きれいなものを集めた。同書籍は6月に開催される第62回日本臨床細胞学会総会春期大会で展示する予定だ。

感染対策を徹底し病理医と技師が切り出しを実施(八尾病院)感染対策を徹底し病理医と技師が切り出しを実施(八尾病院)

昨年はコロナ禍により、病理部門にも特殊な対応が求められた。同部会はコロナ禍でのグループ病院の対応状況に関しアンケートを実施。病理解剖、術中迅速診断、細胞診生検体の取り扱いの3項目について、それぞれどのような対策を講じているか共有した。各グループ病院は、基本的に日本病理学会の新型コロナウイルス感染症対策指針をベースに対応。病理解剖は、同学会の指針にある装備基準を満たすグループ病院がないため、実施する際は必ずコロナ陰性を確認のうえ実施した。

青笹・最高顧問は「グループの病理診断件数は昨年3~5月の第1波で例年の半分近く減少しましたが、6月以降は回復傾向を示しました。コロナ禍でも病理診断の必要性は変わりません。今後もグループ内、さらには地域に貢献していきたいです」と意気込んでいる。

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