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重症に対応! 第3波では高齢患者さん増 後方連携で地域差も

2021.02.10

重症に対応!
第3波では高齢患者さん増 後方連携で地域差も
コロナ対応緊急総力特集

徳洲会グループでは、感染対策をきちんと施し、本院で中等症以上の新型コロナウイルス感染症患者さんに対応している病院も多くある。第3波では高齢の患者さんが増加、急性期の治療を終えたものの後方連携がままならず、入院が長期化する地域がある一方、退院調整がスムーズに行えている地域もあり、〝地域格差〟が浮き彫りとなっている。

近隣諸国へ技術指導も期待

古河病院は患者さんの状況を遠隔モニターで確認古河病院は患者さんの状況を遠隔モニターで確認

「今日(1月22日)も2人のコロナ陽性患者さんが入院しました。ひとりは1月中旬に陽性が判明し、在宅療養中に呼吸状態が悪化した患者さんで、人工呼吸器を装着し治療を受けています。第3波以降、入院要請が増え、車で1時間以上かかる地域からの搬送もあり、5床すべて埋まったこともあります」。こう話すのは古河総合病院(茨城県)の堀井勝徳事務長。同院は重症を含む最大5人の入院に対応する。

目下、後方病床の確保が全国的な課題となっている。茨城県では県の入院調整本部が入院先を調整しているが、コロナ回復後の転院がスムーズにいかないことがある。そのため同院は県から後方病床の役割も求められ、入院後、陰性になった患者さんの回復期リハビリに取り組んでいる。

同院はスタッフステーションに液晶モニターを設置し、病室の様子や患者さんの心拍数・心電図などを遠隔で確認できる仕組みを築くなど、感染リスクの低減を図りながら治療に集中している。

役割分担と体制強化奏功──宇治病院

患者さんに懸命に対応する宇治病院のスタッフ患者さんに懸命に対応する宇治病院のスタッフ

宇治徳洲会病院(京都府)は救命救急センターの一部を新型コロナ専用病床として確保。従来の病床(28床)の8床と、「ERHCU(救急外来高度治療室)」と称するスペースの12床の計20床で、主に重症患者さんに対応している。京都府では庁内に設置した「京都府新型コロナウイルス感染症入院医療コントロールセンター」が、入院病床の確保・病院間調整などを実施。「役割分担や入退院の調整は比較的うまくできています」(齊藤文代・看護部長)。

重症患者さんに対応するために、同院は体制を強化。4対1以上の看護師を配置するとともに、薬剤師や臨床工学技士ら多職種でチームを編成した。医師は循環器内科、呼吸器内科、救急総合診療科がローテーションで参加し、毎朝、カンファレンス(症例検討会)を実施している。

設備は4台あるECMO(体外式膜型人工肺)の1台をコロナ病床に配備。人工呼吸器は25台を有し、適宜、コロナ病床で使用する。こうした体制の下、第1波からこれまで気管挿管やECMOを用いるような、とくに重症の患者さん30人以上に対応したが、亡くなった方はひとりもいない。

現在はとくに高齢の方に対応。末吉敦院長は「救急の受け入れが少し制限されたり、スタッフに疲労がうかがえたりするなど、当地域でも医療崩壊が進んでいるように感じます」と指摘。それでも「ワクチン接種など希望の光が見えつつある」とし「地域のために踏ん張りたい」と前を向く。齊藤・看護部長も「全看護師にPPE(個人防護具)の着脱テストを行うなど、誰がいつ、かかわっても良いように教育にも力を入れています」と余念がない。

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