お知らせ

徳洲会グループ 感染者受け入れに最善尽くす 「断れば亡くなる可能性ある患者さん断るなどできない」 コロナ対応緊急総力特集

2021.02.10

徳洲会グループ
感染者受け入れに最善尽くす
「断れば亡くなる可能性ある患者さん断るなどできない」
コロナ対応緊急総力特集

新型コロナウイルス感染者数が昨年11月以降、第3波の襲来により急増、1月上旬には1日当たりの新規感染者数が約8000人に上った。その後、再発令された緊急事態宣言により、感染者数はピークを越えたように見えるが、死者数や重症者数は増加、予断を許さない状況が続いている。こうしたなか民間医療グループである徳洲会では、多くの病院がコロナ患者さんの受け入れに尽力、最善の医療提供に努めている。今号では徳洲会病院のコロナ対応の一端を紹介する。

近隣諸国へ技術指導も期待

羽生病院コロナ専用プレハブ病棟(80床)羽生病院コロナ専用プレハブ病棟(80床)
羽生病院本館からコロナ専用プレハブ病棟に患者さんを移送(1月1日)羽生病院本館からコロナ専用プレハブ病棟に患者さんを移送(1月1日)

「1月1日にコロナ専用プレハブ病棟(最大80床)の運用を開始し、すぐに38床が埋まりました。80床のうち50床を稼働病床としていますが、マンパワーの制約から受け入れは現状40人が限界です。重症が多く、ECMO(体外式膜型人工肺)2台と人工呼吸器7台を同時に使用した時は、まるで戦場のように厳しい状況でした。少なくとも、つねに人工呼吸器5台が稼働する事態が続いています」

こう話すのは埼玉県のコロナ対応重点医療機関である羽生総合病院の松本裕史院長。取材した1月28日の前夜には、搬送先が決まらず10カ所の医療機関に断られた遠方のコロナ患者さんの入院を引き受けた。

「当院も厳しい状況にありますが、断れば亡くなる可能性がある患者さんを断ることなどできません」と胸の内を語る。呼吸状態が悪く酸素を毎分10ℓ投与したが、十分に改善せず人工呼吸器を装着、これが奏効し危険な状態を脱した。同院はまさに〝最後の砦(とりで)〟として尽力している。

周辺自治体の医療機関でクラスター(感染者集団)が発生した影響などにより、羽生病院に救急搬送が集中。それまでは月間300件の救急搬送だったが、12月以降、400件まで急増した。

松本院長は課題として「後方病床の確保」を指摘。「陰性になった患者さんのリハビリなどを引き受ける後方病院が確保できないと、目詰まりを起こし新規受け入れが難しくなってしまいます」と危機感をあらわにする。

高齢の患者さん増加 ほぼ満床状態が続く──────千葉西病院

千葉西病院CIWS(40床)にはCT(コンピュータ断層撮影装置)や回診用X線撮影装置、ECMO(体外式膜型人工肺)、人工呼吸器など完備千葉西病院CIWS(40床)にはCT(コンピュータ断層撮影装置)や回診用X線撮影装置、ECMO(体外式膜型人工肺)、人工呼吸器など完備
CIWSは近接防御火器システム「バルカン・ファランクス」の略称でもあり、コロナウイルスを殲滅する意味が込められているCIWSは近接防御火器システム「バルカン・ファランクス」の略称でもあり、コロナウイルスを殲滅する意味が込められている

昨年5月、敷地の一角にプレハブの独立型伝染性感染症病棟(CIWS(シウス))を開設した千葉西総合病院。昨年11月に拡張し、一般病床10床、処置室20床、HCU(高度治療室)10床に増床した。現在、内科を中心とした医師に加え、看護師10人、リハビリテーションセラピスト2人を専属で配置し、スタッフが疲弊しないようローテーションを組みながら、軽症から重症まで対応している。「大きなストレスのなか、スタッフは本当に頑張ってくれています。連携も円滑で、とても助かっています」(須藤麻美・看護師長)。

リハビリセラピストを専属にしているのは高齢の患者さんが増えたためだ。第2波の頃までは若い患者さんが多かったが、第3波からは高齢の方が増加。ADL(日常生活動作)を維持する目的で専属にした。また、高齢の患者さんが増えた結果、入院期間は長期化。「患者さんのほとんどが70代以上で、入院期間30日超の方が現在10人程度。ほぼ満床の状態が続いています」(中野康広・事務部長)。こうした状況をふまえ、最近は県内の医療機関と連携を図りながら、後方病院の確保に尽力している。

三角和雄院長は「CIWSはイージス艦を守る最終兵器〝CIWS〟になぞらえ、当院を守る〝切り札〟という意味合いもあります。独立したコロナ専用病棟により、コロナ医療と通常医療を両立し、その両輪で地域の方に安心して治療を受けていただけるよう取り組んでいきます」。

先手を打って変化に対応 重症患者さんへの準備も─────湘南鎌倉病院

湘南鎌倉病院が運営する臨時医療施設(180床)湘南鎌倉病院が運営する臨時医療施設(180床)
スタッフステーションからモニターを通じ診療支援を行うスタッフステーションからモニターを通じ診療支援を行う

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)は昨年5月18日、県の臨時医療施設(180床)の運営を開始し、中等症の患者さんを受け入れている。

第3波のピーク時には100人超の患者さんが入院。同院では年明けにコロナ患者さんが急増することを予測、予定入院が落ち着いた年末に、いったん本院の70床を閉じ、そのぶんのスタッフを臨時施設に回し備えた。篠崎伸明院長は「今は救急とコロナの患者さんを最大限受け入れる必要があるため、救急治療、コロナ対応を最優先することを職員と共有しました。病院としての軸足はぶれることなく、先手を打って変化に対応しています」と強調する。

臨時施設では夜間の受け入れはもちろん、認知症や精神疾患、透析が必要な患者さんなどにも対応。長期戦になることを見越し、早い段階からクリニカルパス(治療計画表)を作成、また、カルテ記入の負荷を減らすため、スリム化・定型化などの工夫を凝らしている。さらにネーザルハイフロー(高流量で高い精度の酸素を投与する呼吸療法)なども積極的に実施、患者さんを重症化させないよう注力している。

臨時施設の責任者である小山洋史・集中治療部部長は「180床は小さい病院並みの規模。これを運営できるのも徳洲会グループ、さらには当院だからこそだと自負しています」とアピールする。今後は重症化した患者さんの搬送先が減ることを考え、重症患者さんにも対応できるように準備を進めていく。

ページの先頭へ