徳洲会グループ 先進医療として修復腎移植スタートへ 安富祖理事長を交え臨床研究の実務者会議開く
2021.01.19
徳洲会グループ
先進医療として修復腎移植スタートへ
安富祖理事長を交え臨床研究の実務者会議開く
徳洲会グループは修復腎移植臨床研究実務者キックオフミーティングを開催した。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、一般社団法人徳洲会(社徳)東京本部と移植施設、腎摘施設をテレビ会議システムでつないで行った。安富祖久明・社徳理事長が東京本部から参加し、宇和島徳洲会病院(愛媛県)、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)、東京西徳洲会病院、南部徳洲会病院(沖縄県)、中部徳洲会病院(沖縄県)の5病院が参加。各院長や、移植・腎摘手術を担当する医師、術前術後の管理を担う医師、その他移植にかかわるスタッフが出席した。今後、準備が整い次第、レシピエント(臓器受給者)登録を開始し、先進医療として修復腎移植の臨床研究をスタートする。
「現場の人間を消耗品にしない」
オンライン形式でキックオフミーティング
ミーティングは昨年12月25日に開催。冒頭、安富祖理事長は「修復腎移植は徳洲会グループにとって重要なプロジェクトで、臨床研究を開始してから10年以上が経ち、2018年7月には先進医療(条件付き)に認められました。患者さんなど関係する多くの方々が心待ちにしています。移植施設として西日本では宇和島病院がこれまでの経験を生かします。また東日本では新たに湘南鎌倉病院が移植施設になりました。腎摘3施設を合わせたこれら5病院がしっかりコミュニケーションを取りながら、この先進医療を進めていきたい」と語気を強めた。続いて、研究総括責任者である宇和島病院の小川由英・泌尿器科部長が基調講演を行い、腎移植の歴史や、徳洲会が取り組んできた先行臨床研究などについて言及した。
小川部長は「徳洲会が09年から17年にかけて実施した臨床研究では、献腎移植と遜色(そんしょく)ない治療成績が出ています。この成績がもととなり先進医療に認められました。修復腎移植は腎不全患者さんの救済および渡航移植の低減に寄与する技術です」とアピールした。
この後、事務局の工藤琢也・社徳薬剤部副部長が、先行研究にて宇和島病院―中部徳洲会病院間で実施した修復腎移植臨床研究の事例を紹介し、全体の流れやスケジュール感を確認。また、移植にかかわる医療者同士で情報共有するための書類について説明した。
さらに留意事項として、ドナー(臓器提供者)候補に対しては治療が前提であり、手術療法の説明と同意を取ったうえで、臨床研究参加への説明と同意を行うよう手順の順守をあらためて強調、「患者さんがじっくりと考える時間を確保し、移植ありきの腎摘にならないようにする配慮が必須です」と呼びかけた。喫緊の検討事項として、レシピエント登録の受け付けや手順などを挙げた。
意見交換では、宇和島病院がこれまでの事例をふまえコーディネーターの実際の業務量などについて説明。このほかドナー腎の評価や、ドナー候補・レシピエント候補の各病院での受け入れ体制、術式などについて話し合った。
会議を終えた小川部長は「関係者が集まり、先進医療として修復腎移植の本格実施に向け、心をひとつにすることができたと思います。施設間で協力し合いながら、より良い移植を行っていきたい」と抱負を語った。今後、東日本と西日本で、それぞれ修復腎移植の一連の流れを確認し、本番に備えるためのシミュレーションを行う。
徳洲会内外に協力要請
修復腎移植は直径7㎝以下の小径腎腫瘍が発生し治療のために摘出した腎臓をドナー腎とし、病変部分を切除後、修復したうえでレシピエントである透析患者さんに移植する治療技術(図)。
徳洲会は09年12月から宇和島徳洲会病院(実施責任者:万波誠副院長)を移植施設とし、先行する臨床研究を実施。17年3月までに第三者間13例、親族間5例の計18例の移植を行い、おおむね良好な成績を収めている。
同研究の成果をもとに18年7月の第66回先進医療会議で先進医療に承認。その後19年1月に官報に告示された。移植施設は宇和島病院と湘南鎌倉病院の2施設、腎摘施設は東京西病院、南部病院、中部徳洲会病院の3施設。ひとりでも多くの患者さんが修復腎移植の恩恵を享受するには、協力病院の増加が欠かせないことから、今後もグループ内外に対して協力を呼びかけていく。
徳洲会は09年12月から宇和島徳洲会病院(実施責任者:万波誠副院長)を移植施設とし、先行する臨床研究を実施。17年3月までに第三者間13例、親族間5例の計18例の移植を行い、おおむね良好な成績を収めている。
同研究の成果をもとに18年7月の第66回先進医療会議で先進医療に承認。その後19年1月に官報に告示された。移植施設は宇和島病院と湘南鎌倉病院の2施設、腎摘施設は東京西病院、南部病院、中部徳洲会病院の3施設。ひとりでも多くの患者さんが修復腎移植の恩恵を享受するには、協力病院の増加が欠かせないことから、今後もグループ内外に対して協力を呼びかけていく。