日本乳癌学会学術総会 徳洲会7病院が14演題 コロナ禍で完全WEB開催
2020.12.09
日本乳癌学会学術総会
徳洲会7病院が14演題
コロナ禍で完全WEB開催
第28回日本乳癌学会学術総会が開かれ、徳洲会グループ7病院が計14演題を発表した。総会はコロナ禍のため完全WEB開催。各プログラムはライブ配信やオンデマンド配信、PDFデータの閲覧など多様な形態で行い、約5200人が参加した。徳洲会グループの発表のうち、ライブ配信されたものを中心に紹介する。
合併症減り予後向上へ
厳選口演で発表する東京西病院の佐藤副院長
乳房温存療法での放射線治療は、かつては全乳房照射のみだったが、近年は乳房部分照射が注目されている。
部分照射でも、乳房内部からの照射は、外から当てる外部照射より、さらに照射範囲を狭く設定できるため、日本人の乳がん患者さんに適していると考えられる。そこで東京西病院では2008年10月から小線源を用いて乳房内部からピンポイントで放射線を照射する治療を臨床試験で開始。これまで687例に実施している。
佐藤副院長は自院で乳房温存療法を受けた患者さんのうち、半数以上が観察期間の5年以上経過した小線源部分照射の患者さんの群(526例)と、全乳房照射の患者さんの群(222例)を比較検討した。
その結果、治療成績に差異は見られなかったが、どの群も若干のケースで、がんが再発し、全乳房照射は照射していた場所とほぼ同じだったのに対し、部分照射は照射以外の部分が半数だったことを明かした。ただし、海外でも同様の傾向が報告されていることなどを説明。全乳房照射に比べ、病院への通院期間が短い点や医療資源の効率化にもつながる点を挙げ、日本人に対する小線源部分照射の有用性を強調した。
佐藤副院長以外は、すべてポスター発表。新たに「ポスターツアー」と称する企画が組まれ、選出された一部の演題はライブで発表した。徳洲会では東京西病院の渕上ひろみ乳腺腫瘍センター副部長の「小線源治療を用いた乳房部分照射による乳房温存療法の長期整容性と整容性低下に関わる因子について」、岩井大薬局長(薬剤師)の「転移・再発乳癌に対するPalbociclibの投与量減量に及ぼす因子と治療への影響について」が選ばれた。
東京西病院は平本亜希子・看護副主任(がん化学療法看護認定看護師)も症例を報告するなど多職種に発表が見られた。