札幌病院 さい帯血バンク登録 血液疾患の移植医療に貢献
2020.11.17
札幌病院 さい帯血バンク登録
血液疾患の移植医療に貢献
札幌徳洲会病院は、さい帯血バンクに登録し、移植医療に貢献している。さい帯血とは母親と赤ちゃんを結ぶへその緒と胎盤の中に含まれる血液を言い、造血幹細胞(血液を造る細胞)を多く含有しているため、白血病などに対する移植医療に用いられる。徳洲会グループで同バンクに登録しているのは、同院以外では湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)。
徳洲会グループで2施設
さい帯血の採取・提供に尽力する河井部長(左)と澤田師長
さい帯血バンクは、妊婦さんから提供されたさい帯血を患者さんの移植に使えるよう調製、保存、検査を行ったうえで病院に引き渡す。さい帯血は全国6つの公的さい帯血バンクと提携している産科施設でのみ提供できる。札幌病院が同バンクに登録したのは昨年11月。河井紀一郎・産婦人科部長は「昨年6月に、さい帯血に関する講演会に参加する機会があり、その意義を知りました。移植には患者さんの体重やHLA型(白血球など全身の細胞にある型)に適したさい帯血を使いますが、さい帯血は冷凍保存して使えるのが大きな特徴。年々、移植件数も増えています。さい帯血バンクへの登録は意義のあることだと考えます」と説明する。
またコロナ禍では、今まで以上に、さい帯血が必要とされている。白血病の治療には骨髄バンクを介した骨髄移植もあるが、提供者や医療者の感染により、延期・中止になるのを避けるため、関連学会はすでに採取・保存してあるさい帯血から使用するよう促している。
札幌病院の妊婦さんへの協力要請について、澤田和美・看護師長は「さい帯血の提供は強制ではないので、しっかりと説明したうえで協力をお願いしています。まださい帯血移植を知らない方も多いので、さらなる啓発は必要だと思います」と話す。
また、同院では河井部長の方針により、医師がさい帯血の採取を行う。河井部長は「助産師や看護師が行う病院もありますが、あわただしい分娩(ぶんべん)時に追加作業が発生するのも大変なこと。産婦人科スタッフ皆で協力し合い、社会貢献していきたいと思います」と意欲的だ。