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婦人科のダヴィンチ手術が好調 吹田病院 専門外来開設から1年半

2020.11.4

婦人科のダヴィンチ手術が好調
吹田病院 専門外来開設から1年半

吹田徳洲会病院(大阪府)は、内視鏡下手術支援ロボット「ダヴィンチ」による婦人科手術が好調だ。同院では2017年9月に臨床研究としてダヴィンチによる子宮全摘出術を開始。18年4月には診療報酬改定で、早期子宮体がんや子宮筋腫が保険適用となり、同院は19年4月に「婦人科ロボット手術外来」を開設、ダヴィンチによる婦人科手術を本格化した。これまで臨床研究での15例を含め、計42例の手術を実施。

 「よりロジカルな手術が可能に」と北田副院長「よりロジカルな手術が可能に」と北田副院長

ダヴィンチは先端に鉗子(かんし)や電気メス、内視鏡カメラを取り付ける4本のアームからなる手術支援ロボット。術者は3次元の立体画像を見ながらサージョンコンソール(操作台)から遠隔操作し、切除や縫合などを行う。鉗子の先端部が自在に動き、微細で精緻な動きが可能。コンピューター制御による手振れ補正もあり、精密な操作ができる。

同院の北田文則・副院長兼産婦人科部長は日本婦人科腫瘍学会認定婦人科腫瘍専門医として、開腹手術をメインに行ってきたが、ダヴィンチの映し出す術野映像、操作性に触れ、「よりロジカルな手術が可能になった」と感嘆。「開腹手術で直接患部を見るよりも鮮明で、解剖が詳細にわかるので、若手医師の育成にも有用です。開腹手術を経験する必要はありますが、ダヴィンチ手術も並行して学べば、より理解が深まるでしょう」と強調する。

メリットは患者さんにも大きい。侵襲が少なく、術後の痛みが軽く、出血量も少ないため早期回復が望める。北田副院長は「合併症が少ないのも利点です。まだダヴィンチの婦人科手術を始めて3年目ですので、慎重に経過を見ていますが、早ければ術後4~5日ほどで退院できます」と明かす。

コンソールに北田副院長(左)が入りダヴィンチ手術を実施コンソールに北田副院長(左)が入りダヴィンチ手術を実施
北田副院長(前列中央)を中心としたダヴィンチ婦人科手術チーム北田副院長(前列中央)を中心としたダヴィンチ婦人科手術チーム

同院では昨年4月、ダヴィンチによる婦人科手術の受け入れ体制を強化するため、婦人科ロボット手術外来を開設。当初は木曜日と金曜日の予約制だったが、紹介患者さんの増加にともない、現在は予約なしでも対応している。

術者は北田副院長を含め4人(非常勤医師1人含む)が担当。北田副院長は「私のように婦人科腫瘍専門医をベースにしている医師もいれば、日本産科婦人科内視鏡学会認定医をベースにしている医師もいます。それぞれが知識を深め、より研鑽(けんさん)を積むと同時に、さらなる後進育成も必要だと考えます」と話す。

手術件数は10月現在で45例(子宮体がん28例、子宮頸(けい)がん6例、子宮筋腫11例)。さらに紹介患者さんを増やすために、新型コロナウイルス禍でやめていたマーケティング活動を再開する予定だ。また、子宮頸がん、子宮体がんなどは早期発見できれば、子宮を残すことも検討できるため、定期的な検診もあわせて啓発していく。

北田副院長は「関連学会でもダヴィンチによる婦人科手術の演題が増えるなど、世の中の流れになっていると思います。当院でも一例一例を大切にしながら、丁寧に対応していきます」と意気込んでいる。

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