徳洲会体操クラブ 北園丈琉選手が2021年4月に加入 ユース五輪5冠エース 異例の決断
2020.9.9
徳洲会体操クラブ
北園丈琉選手が2021年4月に加入
ユース五輪5冠エース 異例の決断
第3回ユース五輪競技大会で、体操男子個人総合と種目別合わせて5個の金メダルを獲得した次世代エースの北園丈琉(たける)選手(17)が、2021年4月に徳洲会体操クラブ(神奈川県)に加入する。8月8日、同クラブは北園が在学する清風高等学校(大阪府)で記者会見を開き、発表した。体操界では選手が高校卒業後大学の体操部を経ずに社会人チームに入るのは珍しく、30人近くの報道陣が駆け付けた。北園は東京五輪までは環境変化を避けるため徳洲会グループの全面的なサポートを受けつつ同校で練習、まずは五輪代表入りを目指す。
「ベストを尽くせる環境がある」
異例の進路決定について北園は「(徳洲会は)体操を続けていくうえで最高の環境だと思ったからです」と答えた。具体的には、管理栄養士によるバランスの取れた食事の提供、寮の整備、グループ病院による医療面でのサポート、所属選手が大学ほど大人数ではないことから練習時間をしっかり確保できる点などだ。
体操に限らずスポーツは第一線で活躍できる期間に限りがあることにも触れ、「一流の体操選手を目指し、とにかく集中したい。徳洲会ならベストを尽くせる環境があると思いました」と強い思いを口にした。
もちろん、大学体操部という選択肢を考慮しなかったわけではない。清風高校の梅本英貴・体操競技部監督はどの生徒にも希望進路を聞き、必ずメリットだけでなくデメリットも伝え、一度は再考を促している。「大学体操部という道もあることを伝えましたが、本人が夢を叶えるために一番良いと熟慮し、出した決断です。尊重したい」と梅本監督。
もともと梅本監督と徳洲会体操クラブの米田功監督が、小学校から大学まで先輩後輩の柄であることが縁で、数年前から双方の選手が交流。同校体操競技部の選手が毎年、同クラブに冬季合宿に来ていたが、昨年は逆に同クラブの選手が同校に夏季合宿に訪れ、互いの練習環境や内容について知っていたことも、今回の加入に大きく寄与した。
「社会人選手の練習を見ていると、自己をしっかりコントロールしていると感じます。自分たちは、まだがむしゃらに練習する時期だと思いますが、一方で、そういうコントロールの仕方も学んでいきたい」と北園。
じつは同クラブにはすでに、同校卒業後に加入した石澤大翔(ひろと)選手、中学校卒業後に加入した岡慎之助選手と、北園と同じ未成年の仲間がいる。「年も近いですし、いろいろなことを共有できると思っています。将来的には一緒にチームを引っ張っていきたい」と北園は強い意気込みを示した。
米田監督は、石澤や岡の加入で未成年がシニアクラブに加入する選択肢もあるのだと気付き、北園が2年生の頃から声をかけ始めた。徳洲会の設備、サポート内容、練習内容などを説明するため、同校に3回ほど通ったという。「必要な情報は提供し、あとは自分たちの状況や成績を客観的に見てもらい、評価してもらうしかないと思いました」(米田監督)。
北園が目指すのは「優勝し続けることができる絶対的エース」。米田監督から「君には水泳の北島康介選手のように、体操界だけでなく日本全体に影響を与えるアスリートになれる素質がある」とかけられた言葉に心を動かされた。
今後の目標は、まず全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の代替大会である全日本高等学校体操競技選抜鯖江大会(10月24、25日、福井県)で結果を残し、五輪代表入りの足がかりとする。
北園 丈琉(きたぞの たける)
2002年10月21日、大阪府生まれ。3歳から体操を始め、小学1年生の時に選手コースへ。清風高等学校所属。18年、ユース五輪個人総合と種目別4種目で金メダル。21年4月に徳洲会体操クラブに加入するとともに、通信制の星槎大学に進学し教員免許取得を目指す。負けず嫌い。趣味は海釣り。座右の銘は清風の精神である「物事の核心に触れるまで努力する」。
ロペスに手ごたえ 全種目で大技目標
跳馬では大技の「ロペス」を披露
記者会見の日には同校と同クラブの合同試技会「S×T Future Match」も行われた。これは東京五輪に向けた競技力強化を目的とした合同練習で、北園も他選手らに交じり全種目を実施。
跳馬では難度の高い大技「ロペス(伸身カサマツ跳び2回ひねり)」を披露し、着地に乱れがあったものの、手ごたえを感じていた。
ほかにも床の「リ・ジョンソン(後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり)」など各種目に目標とする大技があり、撮影したビデオ動画で自身の演技をチェックしたり、コーチからアドバイスを受けたりした。北園は「魅力ある演技を披露していきたいと思いますので、見てもらえると嬉しい」と、はにかんでいた。
異例の進路決定について北園は「(徳洲会は)体操を続けていくうえで最高の環境だと思ったからです」と答えた。具体的には、管理栄養士によるバランスの取れた食事の提供、寮の整備、グループ病院による医療面でのサポート、所属選手が大学ほど大人数ではないことから練習時間をしっかり確保できる点などだ。
体操に限らずスポーツは第一線で活躍できる期間に限りがあることにも触れ、「一流の体操選手を目指し、とにかく集中したい。徳洲会ならベストを尽くせる環境があると思いました」と強い思いを口にした。
もちろん、大学体操部という選択肢を考慮しなかったわけではない。清風高校の梅本英貴・体操競技部監督はどの生徒にも希望進路を聞き、必ずメリットだけでなくデメリットも伝え、一度は再考を促している。「大学体操部という道もあることを伝えましたが、本人が夢を叶えるために一番良いと熟慮し、出した決断です。尊重したい」と梅本監督。
もともと梅本監督と徳洲会体操クラブの米田功監督が、小学校から大学まで先輩後輩の柄であることが縁で、数年前から双方の選手が交流。同校体操競技部の選手が毎年、同クラブに冬季合宿に来ていたが、昨年は逆に同クラブの選手が同校に夏季合宿に訪れ、互いの練習環境や内容について知っていたことも、今回の加入に大きく寄与した。
「社会人選手の練習を見ていると、自己をしっかりコントロールしていると感じます。自分たちは、まだがむしゃらに練習する時期だと思いますが、一方で、そういうコントロールの仕方も学んでいきたい」と北園。
じつは同クラブにはすでに、同校卒業後に加入した石澤大翔(ひろと)選手、中学校卒業後に加入した岡慎之助選手と、北園と同じ未成年の仲間がいる。「年も近いですし、いろいろなことを共有できると思っています。将来的には一緒にチームを引っ張っていきたい」と北園は強い意気込みを示した。
米田監督は、石澤や岡の加入で未成年がシニアクラブに加入する選択肢もあるのだと気付き、北園が2年生の頃から声をかけ始めた。徳洲会の設備、サポート内容、練習内容などを説明するため、同校に3回ほど通ったという。「必要な情報は提供し、あとは自分たちの状況や成績を客観的に見てもらい、評価してもらうしかないと思いました」(米田監督)。
北園が目指すのは「優勝し続けることができる絶対的エース」。米田監督から「君には水泳の北島康介選手のように、体操界だけでなく日本全体に影響を与えるアスリートになれる素質がある」とかけられた言葉に心を動かされた。
今後の目標は、まず全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の代替大会である全日本高等学校体操競技選抜鯖江大会(10月24、25日、福井県)で結果を残し、五輪代表入りの足がかりとする。
北園 丈琉(きたぞの たける)
2002年10月21日、大阪府生まれ。3歳から体操を始め、小学1年生の時に選手コースへ。清風高等学校所属。18年、ユース五輪個人総合と種目別4種目で金メダル。21年4月に徳洲会体操クラブに加入するとともに、通信制の星槎大学に進学し教員免許取得を目指す。負けず嫌い。趣味は海釣り。座右の銘は清風の精神である「物事の核心に触れるまで努力する」。
跳馬では大技の「ロペス」を披露
記者会見の日には同校と同クラブの合同試技会「S×T Future Match」も行われた。これは東京五輪に向けた競技力強化を目的とした合同練習で、北園も他選手らに交じり全種目を実施。跳馬では難度の高い大技「ロペス(伸身カサマツ跳び2回ひねり)」を披露し、着地に乱れがあったものの、手ごたえを感じていた。
ほかにも床の「リ・ジョンソン(後方かかえ込み2回宙返り3回ひねり)」など各種目に目標とする大技があり、撮影したビデオ動画で自身の演技をチェックしたり、コーチからアドバイスを受けたりした。北園は「魅力ある演技を披露していきたいと思いますので、見てもらえると嬉しい」と、はにかんでいた。