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関節疾患・人工関節センター開設 低侵襲手術でQOL向上 大垣病院が市内で初めて

2020.9.1

関節疾患・人工関節センター開設
低侵襲手術でQOL向上
大垣病院が市内で初めて

大垣徳洲会病院(岐阜県)は同院が立地する大垣市内で初となる関節疾患・人工関節センターを開設した。膝関節、股関節、肩関節といったさまざまな疾患に対して、保存的治療から人工関節置換術まで、患者さんの生活スタイルなどをふまえて最適な治療法・手術法を選択、提供していく。同センターは体への負担が小さいMIS(最小侵襲手術法)を積極的に採用。ナビゲーションシステムなどを活用し、安全で正確な手術を目指す。関節疾患に対する幅広く専門的な診療に取り組み、患者さんのQOL(生活の質)向上に貢献していきたい考えだ。

幅広い専門治療を提供

「関節の痛みなどご相談ください」と小川センター長「関節の痛みなどご相談ください」と小川センター長

関節疾患の多くは加齢や外傷などにより発症、徐々に進行し、関節痛の増悪や関節機能の低下をもたらす。日常生活に支障を来し、痛みが強くなると外出・活動の意欲を削ぎ、QOLの大幅な低下を招く疾患だ。

関節疾患・人工関節センターの開設は2020年4月。小川寛恭センター長が同月に大垣病院に着任したことで実現した。小川センター長の専門は膝関節で、これまで岐阜大学医学部附属病院整形外科に所属し、多数の手術を手がけ豊富な診療経験を有する。同センターでは小川センター長のほか、股関節の診療を担当する秋山治彦・岐阜大学医学部整形外科教授、肩関節を担当する寺林伸夫・同臨床講師のふたりが非常勤医として診療を行っている。

大垣病院は同センター開設前から、小川センター長をはじめ、専門分野の異なる複数の医師の派遣を岐阜大から受け、関節疾患の診療(外来、手術)に取り組んできた。

小川センター長は「当院がある西濃(せいのう)医療圏の人口は約37万人(15年現在)です。人工関節の手術を受ける方は、年間1500人に1人の割合とされていますので、たとえば膝関節と股関節のそれぞれに関して、少なくとも年間200人は手術を必要とする患者さんがいることになります。関節疾患を抱える患者さんは、ご高齢の方が多く、遠方の医療機関を受診するのは困難な方が少なくありません。地域の患者さんの治療は当院で担っていきたいと考え、センター開設に至りました」と経緯を説明する。

同センターは、薬剤などによる保存的治療では効果が得られなくなった変形性膝関節症に対する人工膝関節全置換術・部分置換術、比較的早期の変形性膝関節症に対する膝周囲骨切り術(関節温存手術)、半月板損傷に対する半月板縫合術、広範囲軟骨損傷に対する自家培養軟骨移植術(軟骨再生医療)、前十字靭帯(じんたい)損傷に対する再建術、変形性股関節症に対する人工股関節置換術・人工股関節再置換術、変形した肩関節の痛みに対する人工肩関節置換術など幅広い治療に取り組んでいる。「治療部位と手術器具の位置関係などをリアルタイムに確認できるナビゲーションシステムを用い、正確で安全な手術を心がけながらMISによる低侵襲手術に取り組んでいます。MISは小さな手術創で筋肉を切らずに行う手術法のことで、入院期間の短縮や術後の回復を早めることに寄与します」とアピール。

人工膝関節全置換術の術前(左)・術後のレントゲン画像人工膝関節全置換術の術前(左)・術後のレントゲン画像

続けて「患者さんの生活スタイルなどをふまえ最適な治療法を選択しますが、“できるだけ残せるものは残す”方針をとり、たとえば変形性膝関節症の手術では全置換、部分置換、骨切り術を使い分けています」と説明する。

同院は回復期リハビリテーション病棟(51床)を有するため、リハビリまで完結できるのも強み。大垣市や岐阜市などに加え、口コミにより遠方の県外から来院する患者さんもいるという。小川センター長は「関節の痛みなどでお困りの方は、お気軽に当院にご相談ください」と呼びかけている。

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