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湘南鎌倉病院 離島研修を遠隔支援 与論病院とテレカンファ

2020.4.7

湘南鎌倉病院 離島研修を遠隔支援 与論病院とテレカンファ

湘南鎌倉総合病院(神奈川県)の神尾直・集中治療部部長は、与論徳洲会病院(鹿児島県)と電子カルテをつなぎ、テレビカンファレンスを実施、初期研修医・専攻医の指導を遠隔支援している。神尾部長は総合内科専門医・集中治療専門医の観点からサポート。重症患者管理や転送の判断に迷った症例、台風で搬送できない時の患者管理などに関しアドバイスを行う。

遠隔ICUをベースに活用

「徳洲会だからこそ遠隔での研修支援は必要」と神尾部長 「徳洲会だからこそ遠隔での研修支援は必要」と神尾部長

神尾部長は日本集中治療医学会の遠隔ICU委員会の委員を務めている。遠隔ICUとは、遠隔地から集中治療専門医が、現場の医師や看護師から提供された情報をもとにアドバイスを行うシステム。専門医の絶対数が足りない現状をカバーすると同時に、現場の医師や看護師の負担を軽減するのが目的だ。神尾部長はこうした取り組みを徳洲会グループで試験的に実施できないか、徳洲会インフォメーションシステム(TIS)に相談していた。

同じ時期に与論病院では、医師不足の解消や研修のさらなる充実を目的に、民間の遠隔医療システムの導入を検討、TISと調整していた。そこで、TISの尾﨑勝彦社長が神尾部長と与論病院をマッチング。湘南鎌倉病院と与論病院の電子カルテをつなぎ、テレビカンファレンス用の設備を整備、遠隔ICUの考え方をベースに研修医の指導を遠隔支援する運びとなった。

神尾部長は「これまで離島・へき地の病院で研修をする当院の研修医から、電話で相談を受けることもありましたが、情報が足りず電子カルテの情報が見たいと思うことも多々ありました」と述懐。また「遠隔ICUでは、現場の心電図や人工呼吸器などのモニターまで常時接続しておく必要がありますが、研修医の指導を目的とした遠隔カンファレンスであれば、そこまでの情報は必要ないので、取り組みやすかったです」と説明する。

遠隔カンファレンスを始めるにあたり、まず神尾部長は与論病院を視察し、現場の状況や設備などを確認、さらに離島の生活や文化にも触れた。そのうえで昨年10月にスタートした(毎週火曜日、約30分間)。

湘南鎌倉病院サイドは神尾部長に加え小山洋史・集中治療部部長、与論病院サイドは指導医と研修医が参加。毎回2~3症例を研修医がプレゼンテーションし、これに対しアドバイスを行う。もし神尾部長や小山部長の専門外の相談があった場合には、神尾部長が窓口となり、湘南鎌倉病院の該当する診療科の医師につなぎ対応。緊急時のホットラインとして、電話相談も受け付けている。

神尾部長は「離島・へき地の病院での研修を推進する徳洲会でこそ、こうした支援は必要だと考えます。同じグループであれば、すでに信頼関係が構築できているので、支援もしやすいと思います」と強調する。

与論病院では指導医と研修医が参加 与論病院では指導医と研修医が参加

今後、他の離島・へき地病院にこうしたサポートのニーズがある場合、グループ全体で取り組む必要がある。「TISのおかげでハード面の整備がすぐにできるので、課題はソフト面。誰がどのように運用するかだと思います」と神尾部長は考え、「与論病院との遠隔支援を半年間続けたことで、課題なども見えてきました。機会があれば、志を同じくする先生方と共有できればと思います」と意欲的だ。

また、神尾部長は遠隔ICUの必要性も指摘。「グループ病院には、集中治療専門医が少なく、別の診療科の医師がICUの管理を兼務していることもあります。そうした場合、術後管理が苦手だったり、特定の分野に偏ったりすることもあるのが問題です。現在、名古屋徳洲会総合病院の亀谷良介院長から相談を受け、当院と名古屋病院のICUを試験的につなぐことを検討しています」と意気込みを見せる。

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