優秀論文賞を受賞 日本臨床外科学会総会で平田・松原病院外科部長 大動脈食道瘻がテーマ
2020.3.2
優秀論文賞を受賞 日本臨床外科学会総会で平田・松原病院外科部長 大動脈食道瘻がテーマ
「当院の特色ある科の内容で受賞でき嬉しい」と平田部長
松原徳洲会病院(大阪府)の平田裕久・外科部長は日本臨床外科学会の優秀論文賞を受賞した。高知県で行われた第81回日本臨床外科学会総会で表彰された。平田部長が投稿した論文は「ステントグラフト内挿術を行った胸部大動脈瘤(りゅう)関連大動脈食道瘻(ろう)」がテーマ。大動脈食道瘻はまれな疾患で、現時点で確立した治療法はなく、発症すると死に至る可能性が高い。平田部長は、松原病院に救急搬送され大動脈食道瘻と診断された複数の患者さんに対し、ステントグラフト内挿術を行って救命した症例を報告。いずれも3年以上、グラフト感染の兆候が見られていないことなどを示し「出血を抑える目的のステントグラフト内挿術と感染を制御するための食道切除が有用と考えられました」と示唆。
この論文が同学会雑誌第80巻2号に掲載。優秀論文賞は過去1年間に掲載された論文が選考対象となり、今回、計336編の中から10編選出された優秀論文賞のひとつとなり、筆頭著者として表彰された。
平田部長は「論文が表彰されたのは初めてです。当院の特色でもある心臓血管外科、大動脈ステントグラフト・血管内治療科、一般外科の3科が連携して治療したケースで受賞できたのは本当に嬉しい」と笑顔。「ふだんから連携している他科とはコミュニケーションが図りやすく、スムーズに治療できました。致死率が高い疾患で治療法が確立されていないなか、リレー救命できたというのは、今後どういう治療がスタンダードになるかわかりませんが、ひとつの方法を示せたのではないかと思います」と振り返った。