中部徳洲会病院 テロ想定し大規模訓練 14機関から計170人参加
2020.2.18
中部徳洲会病院 テロ想定し大規模訓練 14機関から計170人参加
中部徳洲会病院(沖縄県)は近隣の大型ショッピングモールで爆弾テロが起きたとの想定で対応訓練を行った。これは同院の企画発案によるもので、同地域でテロを想定した訓練は初の試み。同院のほか警察や消防、近隣の医療機関など計14機関から総勢170人超が参加。テロにより局所的に発生した多数の傷病者に対し、各機関がどのように連携し、どのように対応するか、同院が用意したシナリオに基づき実施した。
爆発音で耳が聞こえない前提も
「テロはいつ起きてもおかしくない」と伊波院長
同院の災害対策委員のひとりである眞玉橋顕一事務長は「テロは局所災害のひとつでもあり、特別な状況下で多くの傷病者に対応する訓練が必要だと考えました」と意図を説明。テロが起こるリスクが高いのは人の集まるところと考え、今回は近隣の商業施設で爆弾テロが起きたとの想定でシナリオを作成した。
傷病者役は北中城村役場、北中城村観光協会などが協力し44人が担当。外国人観光客が多い土地柄であるため日本語だけでなく、英語、中国語、韓国語、スペイン語しか話せない人物も設定、爆発音により鼓膜が破れて耳が聞こえなくなるなど細かい状況を決めた。傷病者役は訓練開始前に特殊メイクを施し、災害対策委員のメンバーから演技指導を受けた。
爆発現場で特殊メイクをした傷病者役を迅速に救助
続いて新垣邦男・北中城村長が「地域の関係機関が一堂に会して、このような大規模な訓練を実施できるのは意義深いことです」と挨拶した。
訓練は同院に隣接する外来駐車場を商業施設に見立て、犯人役が爆弾を投げ付けるところからスタート。通報を受け駆け付けた警察官が犯人を取り押さえ、安全を確認したうえで、消防隊が傷病者の救助を始めた。傷病者役は与えられた設定に従い迫真の演技を披露。
救護所でトリアージを行い処置や搬送など実施
同院だけで対応しきれない傷病者は、近隣の医療機関にも転送、さらに重症傷病者を運ぶ想定で、沖縄県ドクターヘリの離着陸訓練も行った。また、院内には同院の災害対策本部を立ち上げ、伊波院長が指揮をとった。
すべての傷病者に対応しきれないまま、タイムリミットで訓練終了。閉会式で伊波院長は「初めてのテロを想定した訓練だったため、うまくできなかったこともありますが、だからこそ改善点も見つかると思います」と意気込みを見せた。
「想定外の事態に対応するスキルが必要」と村上医長
また、現場がホットゾーン(被爆地)となり、危険が潜んでいる可能性を考慮し、すぐに離れた救護所に傷病者を運び、適切な対応ができたかどうかも評価。村上医長は「救急隊もドクターカーで駆け付けた医師や看護師も、医療従事者の〝性〟として、どうしても現場で処置をしたくなってしまったようで、ホットゾーンにとどまる時間が長かったように感じます」と指摘した。
最後に「傷病者に対応している途中、想定外の事態が起きた時、スピード感をもって関係機関との情報交換や人員の再配置を行い、体制を立て直していかなければいけません」と村上医長はアドバイスを送った。