日本神経治療学会学術集会 湘南藤沢病院が5演題 MRgFUSやHALテーマ
2019.12.10
日本神経治療学会学術集会 湘南藤沢病院が5演題 MRgFUSやHALテーマ
第37回日本神経治療学会学術集会が11月5日から3日間、神奈川県内で開催された。湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県)は一般演題で口演4演題、ポスター 1演題を発表。同院で実施した最新の治療成績などを報告した。
各自状況判断しスムーズに対応
一般演題で発表した(左から)阿部PT、角田PT、伊藤部長、堀越PT、井上OT
有害事象として、超音波照射中に頭痛や浮動感が生じ、治療直後に手指・顔面の感覚障害や歩行の不安定性などが一過性に認められたものの、治療後の経過中に新規の有害事象は生じなかった。「MRgFUSによる片側Vim核(左視床中間腹側核)破壊術は、薬剤抵抗性の本態性振戦に対する治療選択肢のひとつになり得ます」とまとめた。
同院の理学療法士(PT)3人はHybrid Assistive Limb(HAL)に関する演題をそれぞれ発表。HALは下肢筋力が障害されている患者さんの下肢筋力・歩行機能をサポートするサイボーグ型ロボットスーツで、同院は昨年4月に導入している。
阿部誠也PTは「HALを用いて歩行運動療法を実施した筋強直性ジストロフィー(MyD)の4例」と題し発表。3症例で1クール(20分/日×9日)実施したところ、全例で有害事象が生じることなく、歩行速度の改善を認めた。5クール実施した症例では、クール間に歩行機能低下を認めたものの、経時的な歩行機能の改善傾向を認め、5クール目終了時には歩行速度・距離ともに改善。「歩行運動療法を反復した症例の経過では、HALの長期的な有効性を示しています」と強調した。
角田賢史PTは「HALによる歩行運動療法を導入した筋萎縮性側索硬化症(ALS)の2例」がテーマ。症例1ではクール間を14日以上あけて9クール(1クール=9回/12日間)実施し、歩行速度が改善。球(延髄)まひの増悪により胃瘻(いろう)を造設したものの、胃瘻周囲を除圧することでHALによる歩行運動療法を継続できた。症例2では5クール実施し、同様に歩行速度が改善。「さらに症例を蓄積していきたいです」と展望を示した。
ポスターでは井上彩加・作業療法士(OT)が「Trail Marking Test(TMT)による評価が有用であった進行性多巣性白質脳症の1例」をテーマに発表した。TMTは注意機能や遂行機能の簡易評価。症例では臨床症状・検査所見の改善とともにTMTも改善、「具体的な数値を示したことで、医療者側と患者さん・ご家族側が経過を共有しやすくなり、治療効果や在宅生活上の問題点を理解するための一助となりました」とアピールした。