全日本病院学会 中川・野崎病院院長が優秀論文 徳洲会版ピアレビュー導入で受賞
2019.11.06
全日本病院学会 中川・野崎病院院長が優秀論文 徳洲会版ピアレビュー導入で受賞
野崎徳洲会病院(大阪府)の中川秀光院長は愛知県で開かれた第61回全日本病院学会で、優秀論文賞を受賞した。タイトルは「徳洲会病院グループにおけるピアレビューの試み」。ピアレビューは医療安全・質の向上を目的に、医療行為を医師同士が相互評価することで、米国では一般的だが、日本で導入している医療機関はいまだ少ない。徳洲会版ピアレビューは手術手技に対し評価項目を設け、徳洲会グループのベンチマーク(指標)と比較し、各病院の潜在的な課題を顕在化することに主眼を置いているのが最大の特徴だ。
「すべては患者さんのために」
授賞式で大田泰正・学術委員会委員長(右)から記念の盾を贈られる中川院長
中川院長は徳洲会ピアレビュー実行委員会の事務局長を務める。
徳洲会版ピアレビューは①手術(外科手術、血管内治療、内視鏡、カテーテル治療)、②手術時の合併症(6項目)、③輸血の有無、④入退院時のADL(日常生活動作)の差、⑤平均在院日数、⑥転帰(死亡の有無)、⑦再入院率、⑧手術後の患者満足度――の計8評価項目を、一定の基準に基づきポイント化、合計点で評価する。
17年4月に脳神経外科で導入を開始、18年4月には9診療科にまで拡大した。対象病院は手術など侵襲的治療を行い、電子カルテを導入しているDPC(診断群分類別包括評価)病院。
診療科と病院数は外科48病院、心臓・血管外科24病院、産婦人科25病院、脳神経外科30病院、整形外科47病院、泌尿器科29病院、眼科21病院、循環器内科39病院、消化器内科46病院。
医療安全・質向上に寄与
中川院長は9月28日の授賞式直前に、同学会で「徳洲会病院ピアレビユーの結果と今後の方向」と題する口演(口頭発表)を行った。このなかで、ピアレビュー導入後1年のうち、外科2病院(3病院は進行中)、脳外科2病院、心外科1病院に問題点を見出し、指導を行ったことを強調した。
課題には①各病院に設置した診療科事務局の負担軽減と業務効率化、②緊急手術と待機手術で合併症の差が反映されていない、③患者満足度アンケートの回収率に病院間で差が大きい、④評価委員会が検討する際のデータが不十分、⑤特定医師の診療が問題視された場合の対応――などを列挙。
これらを解決するため、①事務局を社徳医療安全・質管理部に移管し、同部で事務作業を一部負担、②外科、心外科、脳外科は緊急と待機手術で分けて合併症データ提出、③アンケート廃止、④調査用サイトを新たに構築し、データ作成手順を簡素化、⑤社徳同部から電子カルテリモート接続により、診療情報を収集――など対策を講じた。とくに⑤は緊急情報が入った場合も対処できるようになり、一段と精度の高いピアレビューの実現に寄与している。中川院長は「徳洲会版ピアレビューは第二ステージに入りました。これも多くの医師をはじめ職員の協力の賜物です。あくまでも徳洲会のピアレビューは患者さんのため、医療安全と質の向上を第一義に考えてのものです」と、あらためて意義をアピール。
課題には①各病院に設置した診療科事務局の負担軽減と業務効率化、②緊急手術と待機手術で合併症の差が反映されていない、③患者満足度アンケートの回収率に病院間で差が大きい、④評価委員会が検討する際のデータが不十分、⑤特定医師の診療が問題視された場合の対応――などを列挙。
これらを解決するため、①事務局を社徳医療安全・質管理部に移管し、同部で事務作業を一部負担、②外科、心外科、脳外科は緊急と待機手術で分けて合併症データ提出、③アンケート廃止、④調査用サイトを新たに構築し、データ作成手順を簡素化、⑤社徳同部から電子カルテリモート接続により、診療情報を収集――など対策を講じた。とくに⑤は緊急情報が入った場合も対処できるようになり、一段と精度の高いピアレビューの実現に寄与している。中川院長は「徳洲会版ピアレビューは第二ステージに入りました。これも多くの医師をはじめ職員の協力の賜物です。あくまでも徳洲会のピアレビューは患者さんのため、医療安全と質の向上を第一義に考えてのものです」と、あらためて意義をアピール。