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名瀬病院 初期研修医が講演 平島センター長「良い経験になれば」

2019.10.17

初期研修医が講演 平島センター長「良い経験になれば」

名瀬徳洲会病院(鹿児島県)は今年度から毎月1回、初期研修医による院内医療講演を開始した。主に同院で地域医療研修を受ける研修医が講師を務め、待合にいる患者さんに講演している。テーマや表現方法は自由。なかには寸劇を披露するケースもあり、患者さんから好評だ。


アウトプットの機会つくる

口まわりの運動を促す神澤・初期研修医 口まわりの運動を促す神澤・初期研修医

名瀬病院が同院で地域医療研修を受ける初期研修医にアウトプットの場を設けるようになったのは昨春。平島センター長は「グループ内外から毎月5~6人の初期研修医を受け入れるようになり、以前からインプットだけでなく、何かをアウトプットする場を設けたいと考えました。多くが1カ月程度の短期間の研修であるため、時間がつくりづらいのですが、どうにか月1回、看護師向けの勉強会を開催してもらうことにしたのです」と振り返る。

しかし、同勉強会は勤務時間外で行っていたため、昨今注目を集める「働き方改革」を考えると、継続は困難。勤務時間内に行っても本来の業務優先で参加者が集まらないため、院内で医療講演を行うことを決めた。「公民館などに出向く医療講演は他のスタッフがすでに実践しています。病院には毎日多くの患者さんが来てくださっているので、移動など研修医の先生方の負担も軽減されると思いました」(平島センター長)。

医療講演は毎月第3週の水曜日か金曜日に実施。テーマは自由で、担当する研修医が決める。発表スタイルも決められておらず、寸劇を披露した回もあったという。


取材当日は糸魚川総合病院の磯矢嵩亮・初期研修医、上尾中央総合病院の神澤暁弘・初期研修医、関西医科大学附属病院の坂井田美穂・初期研修医の3人が共同で講師を務め、1階ロビーで講演。テーマは「口は災いの元~少しでも健康に生きましょう~」。

まずフレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)について解説し、年を重ねるほどなりやすく80歳以上では3人に1人が該当しているとするデータなどを示した。フレイルを防ぐには運動・栄養・飲み込みの3つが重要とし、どれかひとつでも状態が悪くなると悪循環に陥り虚弱状態になりやすいことを説いた。

ある時の初期研修医は寸劇で「脱水」を解説 ある時の初期研修医は寸劇で「脱水」を解説

この後、お勧めの簡単な運動を紹介。とくに下半身の大切さを強調し、バランス能力を維持するために片足立ちや、足の筋肉を維持するための運動を参加者とともに実践した。

口腔(こうくう)機能の重要性も示唆。口まわりの状態をチェックする項目を提示し、実際に参加者とともに確認したり、口の開閉や舌のストレッチ、口輪筋の運動を紹介し、下半身と同様、参加者と一緒に実践したりした。

磯矢・初期研修医は「熱心に聞いてもらって、ありがたかったです」と振り返り、「研修中、外来でちょっとした指導を行うことはあっても、資料をきちんと用意して患者さんに説明することはありません。どうすれば関心をもって聞いてもらえるか、考えるのが勉強になりました」と目を輝かせていた。

平島センター長は「出会ってたった数週間の研修医の先生方が協力し、楽しく取り組んでいる姿を見ると、地域研修でしか味わえない経験になっていると思います」と手応えを示した。

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