徳洲会ペインクリニック部会 第1回会合を開く グループ横断的な勉強会へ
2019.10.02
徳洲会ペインクリニック部会 第1回会合を開く グループ横断的な勉強会へ
徳洲会ペインクリニック部会は7月19日、日本ペインクリニック学会第53回大会の会期に合わせ熊本県内で第1回会合を開催した。同部会は5月30日に行われた徳洲会麻酔科医会内での審議により創設。代表には宇治徳洲会病院(京都府)の村川和重ペインセンター部長が就任した。
「若手の思いに応える」
村川部長(中央)を中心に今後の活動内容を検討
多くの「痛み」は原因となる病態の改善とともに軽減・消失するが、慢性痛として残ることもある。ペインクリニックは、症状や身体所見から多角的に痛みの原因を診断し、薬物療法だけでなく神経ブロックなど、さまざまな治療法を駆使し、身体的・精神的苦痛を適切に和らげ、QOL(生活の質)を向上させるのが目的だ。
これまで痛みの治療は主治医や麻酔科医、緩和ケア医が担うことが多く、がん性疼(とうつう)痛の治療に対し、オピオイド(麻薬性)鎮痛薬を積極的に投与するようになってきた。しかし、これだけでは十分に痛みを軽減できないこともあり、その場合、痛みを感じている神経を遮断する神経ブロック療法など、より専門的な治療が必要となる。同療法の適用により、鎮痛薬の量を大幅に減らすことができ、眠気など副作用を低減できる。
こうした専門的な知識や技術を学べる環境は少ないと村川部長は指摘。「がんだけでなく、高齢社会では帯状疱疹や脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症など、さまざまな痛みと向き合うことになると思います。患者さんのQOLを改善するためにも、これからの時代にはペインクリニックが必要不可欠になるでしょう」と強調する。
第1回会合は同部会の中心メンバーとなる5人が参加。神経ブロック療法に加え、脊髄(せきずい)鎮痛法(脊髄の近くにカテーテルを入れ直接的に鎮痛薬を投与)など、参加者それぞれの専門分野を共有、グループ横断的な勉強会の必要性を話し合った。今後は、がん疼痛治療が専門である中部徳洲会病院(沖縄県)の服部政治・疼痛治療科統括部長とも連携を図っていく。
村川部長は「会合ではグループ病院同士の連携強化を誓いました。せっかく若手がペインクリニックに興味をもっている今だからこそ、我々はその思いに応えないといけません。今後は、さまざまな勉強の機会を提供できるように、積極的に進めていきます」と意気込みを見せる。会合は日本ペインクリニック学会の学術集会に合わせて開催するため、次回は来年7月に長野県で開催予定。