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国際医療協力特集 徳洲会グループ 人種・国境・宗教・世代超え支援 “生命だけは平等だ”の願い込め活動

2019.09.02

人種・国境・宗教・世代超え支援 “生命だけは平等だ”の願い込め活動

徳洲会グループは“生命だけは平等だ”の理念の下、アジア、アフリカ、東欧、南米と、さまざまな国に対し医療支援活動を展開している。透析機器の寄贈や透析センターの開設支援、病院開設支援、看護学校の開設支援、医療技術指導、さらには災害医療協力と、活動内容は多岐にわたる。支援に対するスタンスを明確にしたうえで取り組んでいるのが大きな特徴。主な活動を振り返る。



多くの国々に透析機器を寄贈(写真はタンザニアの透析センター) 多くの国々に透析機器を寄贈(写真はタンザニアの透析センター)

表1 覚書を交わした外国一覧
表1 覚書を交わした外国一覧

徳洲会グループは“生命だけは平等だ”の理念とともに「いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会の実現」を掲げ、国内にとどまらず海外、とくに開発途上国に対する医療支援を積極的に展開。サポートの内容は透析機器の寄贈や透析センターの開設、病院開設、看護学校開設など多岐にわたり、医療協力を目的とした覚書(MOU)を締結した国は40を数える(表1)

サポートする際は徳洲会のスタンスを明確化。①“生命だけは平等だ”の理念の下、患者中心の医療を実践、②「魚を与えるのではなく、釣る方法を協力して研究」、③ホストカントリー(受け入れ国)完結型プロジェクト、④現地による病院経営・運営が基本、⑤経営指導とノウハウを提供、⑥利益は日本にもち帰らず、現地国内で再投資、⑦プロジェクト遂行のために金融機関から借りた元金および金利を返済、⑧技術・ノウハウを移転――を基本方針に掲げ、単に物などを提供するスタイルは取っていない。各国が自力で医療サービスの提供を継続・発展できるよう、相手国の社会保障制度などにアドバイスすることもある。

なかでも精力的に取り組んできたのが、アフリカ・アジアを中心とした慢性腎不全に対するサポート。医療資源が十分に整っていない地域においては慢性腎不全は死に直結することから、1990年代のフィリピンを皮切りに、これまで23カ国に計346台の透析機器を寄贈した(表2)。透析センターの開設にも協力し、とくにアフリカでは年2カ国程度での開設を目標に掲げ、これまで16カ国で開設を支援。

表2 透析センターの開設支援・透析機器の寄贈 表2 透析センターの開設支援・透析機器の寄贈

現地スタッフの教育にも余念がない。教育支援を行う際は現地の医療機関から医師、看護師などが来日し、約1カ月間、湘南鎌倉総合病院(神奈川県)を中心に透析治療と透析器械の研修を実施。また徳洲会スタッフが現地に赴き、器械の稼働状況を確認したり、病院スタッフに器械の使い方などを指導したりもする。

また、透析センターの開設とともにアフリカ支援で行っているのが予防を含めた「腎疾患に関わる総合プログラム」。2012年に透析機器10台を寄贈したタンザニアでは、13年に首都ドドマにある国立ドドマ大学に付属の透析センターがオープン。次のステップとして16年に同国から腎移植のサポートを依頼された。





現地を視察する福島・副理事長(左から3人目)とムワナタンブウェ・アフリカ担当(右から2人目)(16年のエチオピア) 現地を視察する福島・副理事長(左から3人目)とムワナタンブウェ・アフリカ担当(右から2人目)(16年のエチオピア)

依頼を受け、徳洲会は東京女子医科大学と共同で準備。現地や日本でのスタッフ指導、移植にともなう法整備のアドバイスなどを行い、18年3月に国立ドドマ大学付属ベンジャミン・ムカパ病院で、同国初の現地医療スタッフによる腎移植をサポートした。その後も支援を継続し、順調に症例を重ねている。

TMAT はロヒンギャ難民に医療支援(18年) TMAT はロヒンギャ難民に医療支援(18年)

医療機器などの寄贈では、透析機器以外にもモンゴルに小児用呼吸器、ブラジル、パラグアイ、エチオピア、コンゴ、アンゴラに医療用ベッドを寄贈。

病院や学校の開設支援も

病院開設の支援では、06 年にブルガリアの首都ソフィアに1000床規模の総合病院を設立。同国にとって30 年ぶりの新病院開設となり、多くの患者さんや医療関係者から高い評価を得た。東欧で最大規模の先進的な病院として、同国の医療水準の向上に貢献した。

12年にはブラジルで、心臓外科の名医であるランダス・バチスタ医師が院長を務める心臓病院の開設をサポート。同院の開院により、心臓外科を掲げる病院がなく心臓手術を受けるには遠方まで行かざるを得ない周辺地域の医療環境の改善に寄与。

現在はアフリカ・ジブチの新病院建設プロジェクトが進行中。同国には透析機器を15台寄贈し、10年の透析センターオープンに協力している。これまで一般社団法人徳洲会の鈴木隆夫理事長や福島義・副理事長をはじめ、職員らが現地を複数回訪問。事業主体となる同国のCNSS(社会保障基金)幹部らと面談したり、同国の労働省や外務省、在ジブチ日本国大使館を表敬訪問したりした。

同国のほかにもルワンダ、ザンビア、モザンビーク、カメルーンで新病院建設プロジェクトを検討中だ。すでにインドネシア、ベトナム、バングラデシュ、モンゴルでは病院経営支援や医師の研修などに協力している。

アフリカに対する支援については、アフリカ開発会議(TICAD)開催の際に各国の要人と直接会談していることも大きい。日本での開催時はもちろん、初のアフリカ開催となった第6回(16年、ケニア)でも鈴木理事長とミランガ・ムワナタンブウェ・アフリカ担当が出席。ジブチ、ザンビア、トーゴ、ケニアの要人らと積極的に会談し、医療支援などについて協議した。アフリカ以外にも徳洲会スタッフが各地域を訪問し、現地を視察したり、情報交換に努めたりしている。

教育機関の開設支援にも注力し、06年にはタイのコンケーン市で看護学校の開設をサポート。14年には韓国にある京福大学校医療保健学部看護学科に「徳洲会クラス」を開設した。同クラスの学生は卒業までに韓国の看護師免許を取得し、日本語能力試験N1(幅広い場面で使われる日本語を理解できる能力)に合格すると、徳洲会病院にインターンとして勤務し、日本の看護師国家試験合格後、正式に徳洲会に入職できる。

医療通じ被災地サポート

医療を通じた被災地支援も徳洲会グループの特徴のひとつ。徳洲会の職員が中心となり構成しているNPO法人TMAT(徳洲会医療救援隊)は、1995年の阪神・淡路大震災を契機に生まれ、災害医療救援活動などをとおして、より良い医療を世界中の人々が受けられるよう、国内外で迅速かつ継続的なサポートを行っている。

国外では95年のサハリン大地震をはじめ、チリ地震(2010年)、ハイチ大型ハリケーン被害(16年)など、これまで隊員を16回派遣。国内も含めると徳洲会グループの医師(研修医含む)や看護師、コメディカル、事務職を中心に1000人以上の医療スタッフが被災地で活動。最近は災害のみならず、ロヒンギャ難民への医療支援(18年)も行った。

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